浜松市楽器博物館には、対多説明のプロがいた。

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久々に、個性的且つ、素晴らしいプロの説明・接客と出会いました。

この三連休で浜松へ寄っていたのですが、
私としては珍しいことに、観光も兼ねることになりました。
選んだ施設は、タイトル通りの「浜松市楽器博物館」です。

ここでは一日に数回、学芸員の方々が展示物の説明をされております。
展示物でありますので、指定された場所というわけではなく、
展示されている楽器の周りで説明するスタイルでした。

その際、私が傾聴した説明が、余りにも素晴らしく感動しました。
楽器はチェンバロ
手法は以下の通り

1.簡単な楽器の説明をする

この楽器はどこで誰が作ったのか、いつ頃の物か…など。
マニュアルの冒頭にありそうな、ありがちな内容でした。
しかし、ここで以降のために伏線が張られていたのでした。
この日の伏線は「優雅、繊細」というような内容と感じました。

2.音を出す

実際に演奏し音を出します。
さすが楽器博物館の学芸員です。
かなりハイレベルの演奏者でした。

この段階で、説明会に興味がない人たちも集まってきます。
興味がある人たちも更にワクワクしてくるのでしょうか、
最初は後ろの方で見ていた人たちも見やすい位置を探し始めます。

掴みはOKというやつですね。

3.掘り下げた楽器の説明をする

楽器の生い立ちや、今弾いた楽器が作られた年代を詳しく説明。
観衆に近寄ってもらい、機内の説明、
チェンバロという楽器の音の特性、
打鍵から音が出るまでの仕組みの説明などがありました。

4.説明の内容を踏まえて再演奏+説明

若干オーバー気味に演奏。
他に展示してある楽器と、その楽器の関係を説明。
(こちらに行くほど古く、こちらに行くほど新しい…の様な内容)


説明の流れはこのような形でした。

驚いたのは観客とのやり取り。
3の際に観衆に質問をしていく時間があったのですが、この受け答えに関心します。
(言葉や構造は右リンク先を参考にしてください– チェンバロ – Wikipedia

学芸員「ジャックに使われる爪の素材は柔ら過ぎても固すぎてもいけません。そのため、今はプラスティックが使われています。」
学芸員「しかし、江戸時代にプラスティックはありません。そのため、あるものを使っておりました。それは何でしょうか?」


客「象牙かな?」
学芸員「象牙を使ったというものもあります。しかし、価格から主流ではありませんでした。」


客「鹿の角かな?」
学芸員「そういうものもあったようです。しかし、これも主流ではありませんでした。」
学芸員「爪に加工するのが大変な物は価格的に主流になりませんでした」


客「魚の骨かな?」
学芸員「魚の骨もあるにはあったようです。ただし、私が読んだ文献には『使ってみたけど上手く行かなかった』とありましたので、実際には、ほとんど無いかもしれませんね。」
学芸員「華やかな音楽や人たちに好まれそうな動物はなんでしょうか?」


客「鳥?」
学芸員「そうです。何でしょうか?」


客「クジャク?」
学芸員「クジャクは一部の高級な物に使われていたようですが、それでも主流ではありませんでした」


結論としてはカラスの羽との事でしたが、以上が大まかな流れです。

これらの一貫した特徴は、
「否定の言葉を最初に持ってこない」
という話法の徹底が挙げられると思います。

もしかしたら、狙った話法ではなく、
折角答えてくれる方への自然なフォローなのかもしれませんが、
次から次へ投げかけられる言葉に反応できる、圧倒的な知識と適切なタイミングが必要です。
加えて皆が気持ちよく話を聞くことが出来るというのは誰にも真似できることではありません。

もちろん、全体的な説明も分かりやすく、面白い話でした。

最後は皆、チェンバロやピアノの元へ散っていき、
「一度見たものをもう一度確認している人」
が居たのが深く印象に残っています。
更に面白いものとして認識したのでしょうか。

あのような説明が出来る様になれたら…と思いました。
博物館自体も面白いので、時間があるときにまた行ってみたいと思います。

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